魅了するということ
某日。
いつも通り新宿へ。
前回の反省を踏まえ、時間帯を変える。
いつもより遅い21:00スタート。
さらにハードルも下げる、スト値5まで、すなわち美人ではない、普通の女の子にも声をかけよう、そう決めて挑んだ矢先だった。
目の前にスト値7、クラスで一番〜学年ーレベルの容姿を持つ美女が現れる。
今日はスト値はそこそこでいいから、とにかく連れ出しをする、
そう腹を括っていたため完全に虚をつかれてしまった。
「美容院帰りかな?」
気持ちとは裏腹に、プログラムされた様に身体が動いていた。
「そうなんですよ!」
なんという偶然、まさに瓢箪から駒。とても綺麗な髪をしていたので、そのままオープナーとして投げかけると、ズバリ彼女は美容院の帰りだった。
オープン、反応は中々良い、並行トーク。
話は盛り上がるが明らかに改札に向かっている。
残された時間はもう1分もないだろう。必死に彼女の心のボタンを探す。
会話のバランスを考え、自分語り、年末の旅行の話をする。
彼女は旅行代理店のOLだった。
本日2発目のラッキーパンチ、会話がグッと盛り上がる。
改札の5m先、なんとか時間内にビタ留めをすることができた。
旅行の話をきっかけに会話をすすめる、話を膨らまし必死に盛り上げる。
ミラーリング、ボディタッチ、よく笑う愛想の良い態度、大きな目。
そう本当に大きな目だった。バッチリとした潤いのある瞳、スッと通った鼻筋、シャープな顎のライン。彼女はスト高だ。
そろそろ良いだろう、打診をする、待ってる人がいるから帰らないと、これから彼氏の家に夕飯を作りにいくらしい。
だが、彼氏がいるという事実はナンパ師にとって何の意味もなさない。会話を続けて打診のタイミングを待つ。
15分ほど、再度盛り上げる。
そろそろいけるだろう、打診する。
どうしてもいけない、崩せない。
冬空の下、強い風が吹く。彼女は寒そうにしている。これ以上は先が見えない、最後に再度打診して断られ、彼女を放流した。
何がいけなかったのか?
失敗した要因はたくさん出てくる、どれが真因なんだろう。
問いを変えてみる。
今回のやり取りで彼女を魅了できたか?
答えはNOだ。
そうだ、ミントは彼女を魅了できていなかった。ドキドキさせられていない。
友達になってしまっていた。
会話を盛り上げることに夢中で、充分にオープンした後も、フェイズシストができていなかった。
会話の中で一度だってネグをしただろうか。
楽しませるだけの会話ではだめだ、ストリートナンパは瞬間最大風速で駆け抜けるゲーム。
行動が常に相手を魅了することに紐づいていないといけない。ドキドキさせられるものでないといけないのだ。
笑わせるだけですぐにドキドキする女の子はいない。時間をかけていいなと思ってもらう、それは一つの戦い方だ。ただそれはストリートにおいては悪手だ。
自分は道化師ではない。
そのことを痛感した案件だった。